福岡・中洲真夜中の保育園「どろんこ保育園」がドキュメント72時間に

どろんこ保育園02-500x272 ステキな人々

どろんこ保育園という、西日本一の繁華街、福岡の中洲に、朝7時から深夜2時まで開いている保育園があります。

この「どろんこ保育園」が11月18日のドキュメント72時間『福岡・中洲 真夜中の保育園』と題して放送されました。

この中洲の真夜中の保育園「どろんこ保育園」のある場所は、博多駅にも近く、大型商業施設のキャナルシティに隣接しているので、昼間は近くのオフィス街で働く親御さん達が子供を預け、深夜のお迎えラッシュは、なんと午前0時。

子供のため懸命に働くシングルの親たちや、着物姿で迎えに来る割烹(かっぽう)の女将(おかみ)や、報道や病院など夜勤のある職業の親たちです。

中洲のどろんこ保育園-500x281

引用:http://www4.nhk.or.jp/72hours/

中洲は大人の社交場で、営業店舗数は、飲食店や風俗店など2,000店舗にも及びます。

ドキュメント72時間で放送される内容は、そこで働く1万人とも2万人とも言われてる、どろんこ保育園に支えられながら生きる親子の物語です。

ここでは、どろんこ保育園に支えられている親子や保育園の歩みについてまとめてみました。

そして今からの季節は、クリスマスのイルミネーションは福岡でも3本の指に入るくらい有名なキャナルシティに隣接しています。

Sponsored Links

どろんこ保育園のはじまり

どろんこ保育園は、43年前の1973(昭和48)年に当時、司法試験の準備中だった大学生の天久さん(どろんこ保育園の理事長)と若い保母のカップルが、地名の住吉から名前をとって「住吉夜間保育所」という名前でスタートしました。

写真がどろんこ保育園の創始者。理事長の天久さん。

とても優しそうな温かい表情をなさっています。

理事長の天久さん-500x333

引用:http://news.yahoo.co.jp/feature/259

どろんこ保育園設立のきっかけ

どろんこ保育園設立のきっかけは、天久さんの彼女が働いていた保育園の保護者から「夜も預かってもらえないか」と頼まれ、個人的に自宅で預かるようになったことでした。

彼女が両親と暮らしている家の自室で子どもを預かり、寝入っている彼女と子どもたちの隣で彼が司法試験の勉強をし、お迎えに来た親御さんに子どもを渡すという生活を続けていたそうです。

中洲に隣接する住吉の住宅街に長屋を借りたのは、それから1年後で、天久さんは、

「2、3カ月やってみてダメならやめればったらやめればいいっちゃけん」

という彼女の言葉に押されたのだそうです。

当時の天久さんは、留年して検察官を目指して受験勉強をしている最中だったのですが、気がつけば勉強をほったらかし、恋人に巻き込まれるようにして20万円の貯金を元手に保育園運営を始めていたそうです。

高度成長期へむかっていた当時の中洲は、3千軒とも4千軒ともいわれた飲食店で賑わい、そこで働くおよそ1万5千人の女性の中には子どものいるホステスさんも多く、若い経営者のふたりはなんだか人がよさそうだし、晩ごはんも食べさせてくれるし、と「住吉夜間保育所」は口コミで預ける親御さん達が増えていきました。

保育園のある場所が場所だけに、ホステスの母親が持ち帰った鰻だの寿司だの折り詰めだの。

また居酒屋経営の父親がケースで持ち込んだビールで、宴会が始まる夜もあったそうです。

さらに「給料が支払われん」と愚痴をこぼす母親や、「ママからお客とつき合えって言われるっちゃけど、行きたくないんよね」と相談する母親の話を聞いているうちに、園児だけではなく親を支える風土ができあがったそうで、それはいまでも続いています。

当時の夜間保育は、『子どもの発達成長に悪影響を及ぼす』という社会の風潮の中、離婚して生後4カ月の娘をどろんこ保育園に預けていたという、キャバレー経営会社の営業部長の男性は以下のように当時の事をおっしゃっています。

「冬のある夜、仕事が終わって迎えに行ったとき、月夜でちょうど雪が降っていました。背中におぶった娘に『おい、お前が初めて見る雪だぞ』と言いながら歩いた、その夜のことを今でもふと思い出すんです」

出典:http://news.yahoo.co.jp/feature/259

と。

博多の中洲を流れる那珂川(なかがわ)の先にある中洲のネオンです。
川沿いには屋台が並んでいます。

中洲-500x333

引用:http://news.yahoo.co.jp/feature/259

どろんこ保育園の経営は順調ではなかった

どろんこ保育園の経営は、開業当初から今までずっと、順調だったわけではありません。

若さと勢いで始めた長屋の託児所は、広くて日当りのいい環境や、子どもたちに必要な保育の質を保つための保母を雇う費用が、保護者から支払われる保育料では到底賄えないのです。

最初は近所の主婦を雇っていたのですが、資格を持つ保母を採用するために、1万8千円からスタートした保育料は最終的に2万7千円まで値上げしなければいけませんでした。

幸い、保育料が高いことが理由で退園した保護者は一人もいなかったのですが、認可保育園となって自治体からの支援を受けない限り、狭くて防火設備が整わない環境から抜け出すことができない現実はどうすることもできなかったそうです。

ところが、そんな時に、大きなチャンスが巡ってきます。

チャンス到来

当時、福岡市では保育園不足の対策として、福岡市議の働きかけによって、行政が無償で土地を提供し、社会福祉法人など保育園運営者が建物の建設費を自己負担する「福岡方式」が立ち上がっていました。

中洲の料飲組合長でもあった市議を、先述のキャバレー経営会社の営業部長の男性が天久さんに人脈をつなぎ、長屋の託児所を日本でまだ数少なかった認可夜間保育園へと格を上げることができたのです。

このどろんこ保育園のある場所と隣接するキャナルシティのある場所は、1902年に建てられたカネボウの紡績工場でした。

このカネボウの紡績工場は、1901年に北九州・八幡で開業した八幡製鉄所(現・新日鐡住金)とともに、日本の近代工業化の象徴的存在で、そこで働いていた九州一円から出稼ぎにきていた女性たちに支えられていました。

でも、そこで働く女性たちの生活は決して豊かなものではなく、様々な事情や悲しみを抱えたものでした。

そんな工場跡地に中洲で働く女性を支える保育園が誕生することに対して、工場閉鎖後に土地を所有していた、地場のディベロッパー(現福岡地所)は、哀しみを抱えた多くの無名の女性たちが働いてきたこの工場跡地が、中洲で働く女性たちを支える保育園に変わることに、運命を感じたそうです。

そして、保育園が竣工して、子供たちの遊び声が聞こえたとき、土地を提供した地場のディベロッパーだった方は、当時のことを以下のようにおっしゃっています。

「ああ、この街に血が流れ始めた、て感じたよねえ」

どろんこ保育園の名前の由来

この場所で営業を始めた「どろんこ保育園」の名前の由来は、夜の街に存在することが宿命づけられた夜間保育園の、土とひなたへの憧れからだそうです。

どろんこ保育園の、遅番の先生には、昼間に子供を預けていたという元保護者の先生がいらっしゃいます。

子育てが終わり、お世話になったどろんこ保育園で働くようになったのだそうです。

きっと、一生懸命働きながら預けていた保育園から暖かいものをたくさんもらって、今度はその温かいものを与える側に回って、バトンリレーのように暖かいものを紡いでいかれるのですね。

どろんこ保育園先生-500x333

引用:http://news.yahoo.co.jp/feature/259

どろんこ保育園の詳細について

どろんこ保育園02-500x272

引用:http://news.yahoo.co.jp/feature/259

どろんこ保育園は、『社会福祉法人 四季の会』として

  • 昼間のどろんこ保育園
  • 夜間保育の第2どろんこ夜間保育園
  • 花鶴どろんこ保育園

と3つの保育園を運営しています。
・住所:福岡県福岡市博多区住吉1-2-50
・電話:092-271-3343
・FAX:092-271-3463
・URL:http://www.doronko-hoikuen.com/

アクセス

  • JR博多駅より、徒歩10分
  • 地下鉄祇園駅より徒歩8分
  • 西鉄バスキャナルシティ博多前より徒歩5分

株式会社時設計(Tokisekkei)さん

このすてきなどろんこ保育園を設計されたのは「園舎設計」のプロフェッショナルグループ『株式会社時設計』さん。

様々な保育園や幼稚園また認定こども園等の園舎設計をなさっており、様々な受賞歴もお持ちの設計事務所です。

この時設計さんのフェイスブックで、こちらの記事をご紹介いただきました。
ありがとうございます!

まとめと感想

ここではドキュメント72時間で放送された博多中洲のどろんこ保育園についてまとめています。

この記事を書いていて、私も、懐かしいことを沢山思い出してしまいました。

福岡在住の私にとって、このどろんこ保育園のある場所は、今では豪華キャナルシティという商業施設に変わってしまっているのですが、カネボウの紡績工場がなくなった後の敷地は随分長い間、広々とした駐車場だった場所として焼き付いています。

その時のその場所の呼び名は『カネボウ跡地』

地元ではずっと長い間そう呼ばれていたので、私よりもご年配の方は未だに『カネボウ跡地』です。

この記事を読んでくださっているあなたが、福岡在住で、『カネボウ跡地』がわかるとしたら、きっと同世代です(笑)。

いまでは、このカネボウ跡地も中洲も、随分変わってしまいました。

変わらないのには、直ぐ側の櫛田神社だけですね。

 

人気ブログランキングにも参加しています。よろしければ応援よろしくお願いします!


人気ブログランキング

Sponsored Links

コメント

  1. 時設計 より:

     こんにちは。
     突然のご連絡、失礼いたします。
    弊社は株式会社時設計と申します。
    この度特集頂きました福岡のどろんこ保育園の設計を行った設計事務所です。
     詳しく特集下さり、感謝申し上げます。ありがとうございます。
     大変温かく、分かりやすくご説明くださっているのを拝見し、是非、弊社のfacebook、ツイッターアカウントにて、御ページをご紹介させて頂きたく、お伺いのご連絡です。
    ご検討いただけると幸いです。
    宜しくお願い申し上げます。

    • officeliberty より:

      時設計さま
      ご訪問とコメントをありがとうございます!
      どろんこ保育園については、大変失礼ながら今まで「キャナルシティ側に豪華な保育園ができてるぞ」という認識しかなかったのですが、
      テレビで放送されるとあって調べたところ、長い歴史や理事長夫妻の暖かく熱い思いに大変感動して、記事を書いていました。
      時設計様のお目にとまったことを、大変嬉しく思います。
      facebookやツイッターにてご紹介いただけるとのことで、お役にたつのかな?と思いつつ、
      恐縮ながらこちらも大変嬉しく思いますので、可能であればお願い致します。
      もし、差し支えなければ、こちらでも時設計様のサイトのご紹介をさせていただきたいと存じますのでよろしくお願いいたします。

      • 時設計 より:

        先日は有難いお返事をありがとうございます。
        再放送があってから、と思っていたので少し時間が開いてしまったのですが、
        弊社facebookページ
        https://www.facebook.com/tokisekkei/
        にてご紹介させていただきました。
        再放送を楽しみにしていたのですが、残念なが中止になってしまったため、少し時間が開いてしまいました。
        ご連絡が遅くなり、申し訳ございません。
        この度は、素敵な記事をありがとうございました。
        株式会社 時設計