「殯(もがり)」という言葉を初めて耳にしました。
「殯(もがり)」という言葉は、2016年8月8日に、天皇陛下のビデオメッセージが私たち、国民向けにビデオメッセージとして配信されたなかに含まれていたお言葉です。
ここでは、その「殯(もがり)」や象徴(象徴天皇)という意味についてしらべてみました。
天皇のお言葉全と動画もまとめました。
目次
天皇のお言葉をまとめると
今回の天皇陛下のメッセージは、その「生前退位」のご意向は、私たち国民へ向けられたお言葉として配信されたものです。
お言葉の趣旨は、
・既に80歳を超えて、象徴の勤めを果たすことが難しいのではと感じる
・公務を縮小していくことは無理がある
・摂政では、天皇が十分に勤めを果たせない
・殯(もがり)・喪儀と新時代の諸行事の同時進行を避けたい
ということが、美しい言葉で伝えられました。
殯(もがり)とは?
日本の古代に行われていた葬儀儀礼で、死者を本葬するまでのかなり長い期間、棺に遺体を仮安置し、別れを惜しみ、死者の霊魂を畏れ、かつ慰め、死者の復活を願いつつも遺体の腐敗・白骨化などの物理的変化を確認することにより、死者の最終的な「死」を確認すること。その棺を安置する場所をも指すことがある。殯の期間に遺体を安置した建物を「殯宮」(「もがりのみや」、『万葉集』では「あらきのみや」)という。出典:ウィキペディアより
殯(もがり)の長い期間は、儀式てきな意味もありますが、大規模な墳墓の整備に必要だったからとも考えられているようです。
現代においては、通夜がこの殯(もがり)の儀式の習慣のなごりになっていて、1日だとか数日だけに短縮されたものとする説もあるようです。
沖縄でかつては広く行われ、現代でも一部の離島に残る風葬と洗骨の風習が、殯(もがり)の一種の形態だと考えられています。
次に、象徴の勤めを果たすことが難しいというお言葉も述べられていましたから、なんとなく知ってるような知らないような象徴天皇という言葉についてもコトバンクより抜粋してみました。
象徴天皇とは?
象徴天皇制(しょうちょうてんのうせい )日本国憲法において「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」と規定される天皇を頂く政治体制をいう。 象徴である天皇は,法律上特別の地位を持ち,その地位は世襲され,改元が行なわれ,その誕生日は国民の祝日とされ,また,「陛下」という敬称が使われ,しかし選挙権は持たない。出典:コトバンク
7月の生前退位のニュースは?
天皇陛下が、生前に天皇の位を皇太子さまに譲る「生前退位」の意向を持たれていることについて、海外メディアも大きく伝えている。
韓国の新聞各紙は「日本社会が驚いた」などとして、陛下のお人柄やこれまでの公務の紹介を交え大きく伝えている。
韓国では参院選で勝利した安倍首相が憲法改正に向けた動きを見せるのではないかと警戒する世論があり、韓国日報は「侵略戦争の誤りに言及してきた天皇が退けば憲法改正を防ぐことが難しくなるという指摘もある」としている。
アメリカの新聞「ニューヨークタイムズ」の電子版も憲法改正と関連づけて、天皇陛下が退位された場合、「皇太子さまが安倍首相と対照的な存在になりうる」と指摘。皇太子さまが「平和の尊さを心に刻み込みたい」と述べられるなど、憲法を称賛するご発言を続けてきたことを紹介している。
一方、中国・上海の大手インターネットメディアは「生前退位」の意向を伝える記事の中で、1992年10月の中国ご訪問を紹介。日中国交正常化20周年に合わせて行われた歴史上初めての出来事と説明し、「中国を訪れた唯一の天皇」と表現している。出典:NHKニュースより
海外では、3年前に、皇室とも親交の深いオランダの女王やローマ法王などが相次いで退位を表明して注目を集ているそうですし、実は日本でも、昭和天皇までの124代の天皇のうち、半数近くが生前に皇位を譲っていたそうです。
明治時代以降、天皇の譲位はなくされ、江戸時代後期の光格天皇を最後におよそ200年間、譲位は行われていないのですが、皇室制度を定めた「皇室典範」に現時点での天皇の退位の規定はありませんから、今後、天皇陛下の意向は、皇室典範の改正なども含めた国民的な議論につながっていくものとみられているようです。
そしてこの、「生前退位」については、皇后さまをはじめ皇太子さまや秋篠宮さまも受け入れられているとのことで、今回のお言葉も、「憲法に定められた象徴としての務めを十分に果たせる者が天皇の位にあるべきだ」というお考えをお持ちで、今後、年を重ねていくなかで、大きく公務を減らしたり代役を立てたりして天皇の位にとどまることは望まれていないというお考えのようで、私たち国民に、理解して欲しいという、強いお気持ちが現れていた言葉だったと感じました。
前回の生前退位の意向についての反応は?
【大阪の人】
「お元気な時に皇太子さまに譲るのもいいと思う。長生きしていただきたい」
【京都御所周辺の人】
「もうゆっくりしていただかないとアカンのに、天災とかあったら飛んでいかれてね」
「ご高齢であることを理解したうえで、御退位も反対できない」
4年前の紀伊半島豪雨災害で妻と娘を亡くし、天皇陛下からお言葉をかけられた、和歌山県那智勝浦町の町長は次のように述べました。
【那智勝浦町・寺本眞一町長】
「いろいろな災害の所行って励まされるのは力になる。健康のことを思うと、あとはゆっくりと健やかに過ごしていただきたいという複雑な気持ちになる」
天皇のビデオメッセージは
天皇のお言葉全文
私も八十を越え、体力の面などから様々な制約を覚えることもあり、ここ数年、天皇としての自らの歩みを振り返るとともに、この先の自分の在り方や務めにつき、思いを致すようになりました。
本日は、社会の高齢化が進む中、天皇もまた高齢となった場合、どのような在り方が望ましいか、天皇という立場上、現行の皇室制度に具体的に触れることは控えながら、私が個人として、これまでに考えて来たことを話したいと思います。
即位以来、私は国事行為を行うと共に、日本国憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましい在り方を、日々模索しつつ過ごして来ました。伝統の継承者として、これを守り続ける責任に深く思いを致し、更に日々新たになる日本と世界の中にあって、日本の皇室が、いかに伝統を現代に生かし、いきいきとして社会に内在し、人々の期待に応えていくかを考えつつ、今日に至っています。
そのような中、何年か前のことになりますが、二度の外科手術を受け、加えて高齢による体力の低下を覚えるようになった頃から、これから先、従来のように重い務めを果たすことが困難になった場合、どのように身を処していくことが、国にとり、国民にとり、また、私のあとを歩む皇族にとり良いことであるかにつき、考えるようになりました。既に八十を越え、幸いに健康であるとは申せ、次第に進む身体の衰えを考慮する時、これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています。
私が天皇の位についてから、ほぼ二十八年、この間(かん)私は、我が国における多くの喜びの時、また悲しみの時を、人々と共に過ごして来ました。私はこれまで天皇の務めとして、何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えて来ましたが、同時に事にあたっては、時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うことも大切なことと考えて来ました。天皇が象徴であると共に、国民統合の象徴としての役割を果たすためには、天皇が国民に、天皇という象徴の立場への理解を求めると共に、天皇もまた、自らのありように深く心し、国民に対する理解を深め、常に国民と共にある自覚を自らの内に育てる必要を感じて来ました。こうした意味において、日本の各地、とりわけ遠隔の地や島々への旅も、私は天皇の象徴的行為として、大切なものと感じて来ました。皇太子の時代も含め、これまで私が皇后と共に行(おこな)って来たほぼ全国に及ぶ旅は、国内のどこにおいても、その地域を愛し、その共同体を地道に支える市井(しせい)の人々のあることを私に認識させ、私がこの認識をもって、天皇として大切な、国民を思い、国民のために祈るという務めを、人々への深い信頼と敬愛をもってなし得たことは、幸せなことでした。
天皇の高齢化に伴う対処の仕方が、国事行為や、その象徴としての行為を限りなく縮小していくことには、無理があろうと思われます。また、天皇が未成年であったり、重病などによりその機能を果たし得なくなった場合には、天皇の行為を代行する摂政を置くことも考えられます。しかし、この場合も、天皇が十分にその立場に求められる務めを果たせぬまま、生涯の終わりに至るまで天皇であり続けることに変わりはありません。
天皇が健康を損ない、深刻な状態に立ち至った場合、これまでにも見られたように、社会が停滞し、国民の暮らしにも様々な影響が及ぶことが懸念されます。更にこれまでの皇室のしきたりとして、天皇の終焉に当たっては、重い殯(もがり)の行事が連日ほぼ二ヶ月にわたって続き、その後喪儀(そうぎ)に関連する行事が、一年間続きます。その様々な行事と、新時代に関わる諸行事が同時に進行することから、行事に関わる人々、とりわけ残される家族は、非常に厳しい状況下に置かれざるを得ません。こうした事態を避けることは出来ないものだろうかとの思いが、胸に去来することもあります。
始めにも述べましたように、憲法の下(もと)、天皇は国政に関する権能を有しません。そうした中で、このたび我が国の長い天皇の歴史を改めて振り返りつつ、これからも皇室がどのような時にも国民と共にあり、相たずさえてこの国の未来を築いていけるよう、そして象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ、ここに私の気持ちをお話しいたしました。
国民の理解を得られることを、切に願っています。出典:毎日新聞ニュース
まとめと感想
天皇陛下、皇后陛下がいつも地方に行かれるご様子を拝見しながら、「しんどくないのだろうか?」と思ったことが何度もあります。
長距離の移動や、飛行機などの気圧の変化は、若く元気な人でもそれなりに疲れます。
こういうことは、もっと早く、政治かも国民も考えなければいけないことだったのかもしれません。
身近な親や親戚だったら、年齢的に、ストレスなくゆっくりと好きなことをして余生を楽しんでもらいたいとおもいますから。
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