広島・基町在住の中本忠子(ちかこ)さん通称ばっちゃんを取材したドキュメンタリーが2017年にNHKスペシャルで「ばっちゃん~子どもたちが立ち直る居場所~」と題して放送されました。
見逃しを無料視聴する方法についても、下の方にまとめています。
この番組は、元保護司のばっちゃんは、長年の経験から「非行の根っこには空腹がある」と確信し、広島市内にある自宅を開放し、手料理を振る舞い、親身になって相談にのりながら、多くの子どもたちを更生させてきた子どもたちの記録でした。
ここでは、NHKスペシャルで放送されたばっちゃん、中本忠子(ちかこ)さんのプロフィールや経歴、また子どもたちに食事を作り続けるようになった経緯をまとめてみました。
目次
中本忠子(ちかこ)さんプロフィール
- 生まれ:1934年(昭和9年)2017年で85才
- 出身:広島県江田島
中本忠子さんは、海軍工廠に弁当を納入する会社を営む父と、料理が大好きな母の長女として生まれました。
戦後、21歳で結婚そ、3人の息子さんに恵まれました。
ところが3男が生まれたすぐに、ご主人は心筋梗塞で急死。
忠子さんの父が戦後始めたセメント加工会社で、事務、営業、配送と何でもこなし子供たちを女手ひとつで育てあげました。
広島のマザーテレサと呼ばれているばっちゃんは、2017年にNHKで放送される、6年前に保護司を引退。
その後は、ご自宅の市営住宅を開放し、小学生から21歳までの少年たち3〜10人に無償で食事を提供し、多い時には50人の子どもたちが入れ代わり立ち代わり訪れ、3 升のお米を炊くそうです。
ばっちゃんのもとに集まってくるのは、貧しさのあまり家で食事をとれない少年や、母親から虐待され続ける少女など様々で、学校が休みの日曜や祝日は、お昼まえから食事の準備をするのだそうです。
子ども食堂をはじめたきっかけ
中本忠子(ちかこ)さん、通称ばっちゃんさんが無償で子どもたちに食事を提供する、その原点になっているのは、中本さんのお父さんの言葉です。
「人間の優しさって言うのは見返りを求めたらいけない。見返りを求めるのは優しさじゃない」
46歳だった1980年に中本さんに変化が訪れます。
当時、中学校のPTA役員をしていた中本さんは、警察に補導された生徒らを忙しい保護者の代わりに迎えにいくうち、親しくなった知人の警察官から「保護司」をやってみないか?と勧められました。
保護司とは
保護司とは、保護観察処分になった少年の更生を助けるために、法務大臣から委嘱される地域ボランティアのこと。
中本さんは、「よくわからんけどええよ」と快諾したそうです。
それから2年後の82年に、1人の少年を担当することになりました。
担当したその少年は、中学2年生。
少年院に入っていた少年で、理由は、シンナーを買う金欲しさに空き巣をしたためでした。
当時の少年はシンナー中毒で歯はボロボロで、骨と皮だけのような体に、真っ青な顔。
髪や服にまでシンナー臭が染み付き、誰も近寄ろうとしなかったそうです。
そして生気を失った目をしていたといいます。
袖の中に隠し持ったシンナーを手放すよう説得を試みるが、うまくいかず、何度注意してもシンナーを手放すことができない少年に、ある日中本さんは
「なんでそんなにシンナーばっか吸うの?」
と尋ねたそうです。
すると、少年から帰ってきた言葉は、中本さんにとって大きな衝撃だったそうです。
その少年お言葉とは、
「お腹が減ったのを忘れられるから」
と。
少年は母子家庭で、アルコール依存症の母親から満足に食事を与えられていなかったのだそうです。
中本さんは、こんなに平和な時代に、お腹を空かせている子供がいるとは想像していなかったそうでその時のことをこう語っていらっしゃいます。
「すごい衝撃よね。食べられない子がいるなんて考えてもいなかった」
中本さんは、空腹に気づけなかったことを少年に詫びて、まず、この少年のために食事を提供しだします。
この少年との出会いが、子どもたちに食事を与えるきっかけになりました。
中本さんの取り組みについて
お腹が満たされるようになったその少年は、やがてシンナーをやめ、同じような境遇の友人たちを中本さんのもとへ連れてくるようになりました。
瞬く間に行き場のない子たちであふれ、玄関に納まりきらない靴がアパートの廊下にまで積み上げられたそうです。
いつの間にか中本さんの自宅は、彼女を「ばっちゃん」と呼ぶ子供たちのたまり場となっていっったそうです。
ご飯を食べに来るのは、さまざまな境遇にいる子供たち。
貧困家庭の子や親が刑務所にいる子、虐待やネグレクトと向き合ってる子など、いずれも家で食事が満足に取れずにお腹を空かせ、愛情に飢えている子供たちばかりでした。
中本さんは、少年たちのために毎月10万円にのぼる費用を、生活費を切り詰めて捻出し、貯金を切り崩して食事を与え続けました。
また、不良っぽい少年たちが出入りしていることに対して地域からクレームが来ないように、地域の清掃や町内会にも積極的に参加するようにしたそうです。
中本さんの活動は近所の方々にも理解され、少しずつ活動の輪は広がり、近所の方が調理を手伝いに来てくれたり、食費を集めるためのバザーを開いたり出品物を持ち寄ってくれるようになりました。
そんな活動を続けながら、10年経った頃にようやく、広島市から財政支援を受けられるようになったそうです。
そうはいっても、すべてをまかなえるわけではありません。
それでも中本さんは、子どもたちからから徴収することは決してありませんでした。
中本さんのもとにやってくる子達は、帰りの電車賃もバス代もない子たちばかり。
数百円でも取ることはできなかったとおっしゃっています。
そんな子供の中には、食うや食わずの状況で、片道10キロ以上の距離を歩いてくる子がいたり、食べ物を喉元まで詰め込むような異様な食べ方をする少年もいたそうです。
空腹が少年たちを非行に走らせてしまうと分かっていた中本さんは、子供たちに食事を食べさせるため、休みも取らずに台所に立ち続けました。
食事が出せない日があると、その日は誰かが万引きにに手を出してしまうのではないかと心配でたまらなかったそうなのです
「満腹になると子供達は気持ちが落ちつき、いらいらしない、キレれない。キレれる子というのは大体空腹で、お腹がすいていると犯罪に結びつく」
「万引きは悪いこと、腹が減ったら家へ来なさい」と言って子供たちを招き、ご飯を食べさせ、話す場を与え、多くの子供たちが立ち直っていくのを支え続けてきた中本さんは、子どもたちにとっての母親以上の存在だったのかもしれません。
まさに広島のマザーテレサです。
この功績が讃えられ、平成27年度に小公益社団法人「社会貢献支援財団」から「社会貢献支援者表彰」を受賞なさっています。
そして平成16年からは、今までと同じように食事を提供しながら、中本さんの活動を知った地域の人や保護司、更生保護女性会が協力して毎月2回、中央公民館で「食べて語ろう会」を開催するようになり、毎回20人~30人の子供たちが参加しています。
この活動は、人々と少年たちの出会いの場としても機能しているそうです。
2015年に設立した、NPO法人「食べて語ろう会」は、中本さんが高齢になった今、少年たちを支える活動を地域の人々に引き継いでもらうために設立したものでした。
NPOのメンバーには、中本さんが最初に関わった、あのシンナー少年もいて、中本さんの活動を支援している元少年たちも多数いるそうです。
特定非営利活動法人 食べて語ろう会
食べて語ろう会の目的
さまざまな家庭の事情で満足に食事がとれず、万引や暴力などの問題を起こす少年たちは少なくありません。こうした少年たちに食事や居場所を提供し、地域の力で支えます。
非行に陥った少年たちの改善更生のたための支援と、新たに非行に走る少年が出ないように防止することを目的としています。
活動の場所は3箇所
■「基町の家」
・日時:毎日 午前11時~午後8時
(※12月31日~1月3日はお休み)
・場所:広島市中区基町20番7-559号(広島中消防署基町出張所横)
■中央公民館
・日時:毎月第1・第3日曜日 午後5時~7時
・場所:中央公民館2階 実習室
■「横川の家」
・日時:不定期 随時
・場所:ダイアパレス横川公園705(広島市西区横川町3丁目9-12)
こちらでは、この会を応援して頂く方を賛助会員として募集しているようです。
若干の年会費の納入の他、お米や食材の寄付も募っていらっしゃいます。
ご関心のある方は、下記オフィシャルサイトからどうぞ。
⇒ 食べて語ろう会
NHKスペシャル「ばっちゃん~子どもたちが立ち直る居場所~」の見逃しを無料視聴する方法
NHKスペシャルで放送された「ばっちゃん~子どもたちが立ち直る居場所~」の見逃しは、NHKオンデマンドで見ることが可能です。
ただ、もともと有料でしか見ることができないNHKと、その見逃し配信されているNHKオンデマンド。
上記のキャプチャ画像にも、しっかり値段が書いてあります。
ところが、このNHKオンデマンドで配信されている見逃し動画を無料視聴する方法があるんです。
もちろん不正な方法で見るわけではなく、U-NEXTという大手の動画配信サイト経由で見るので、後からドカンと不正な高額請求が来るなんてこともありません。
NHKで放送されたドキュメンタリーは、見逃してしまったらなかなか再放送されないんですよね。
たまたま途中からみたり、気づいたら終わりの10分だった・・・なんてこともしょっちゅうあります。
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NHKの受信料と併せてダブルで支払うのって、すごく損してる感じがするし、通常のTV番組の他に、NHKの見逃しを見ると行っても、そんなに沢山見られるわけじゃないし、もったいないんですよね。
U-NEXT経由でNHKオンデマンドを見る方法については、別サイトにまとめているので、興味があればぜひチェックしてみてくださいね!
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まとめ
ここでは、広島のマザーテレサと呼ばれる中本忠子さんについて経歴や少年たちに食事を提供するようになった経緯などをまとめました。
女性一人で、ここまでやることができた中本さんには脱帽します。
女で一つで3人の息子さんを育てあげることも楽ではなかったと思うのです。
ご自身の子育てが終わって、少しゆっくりしても良かったはずなのに、それでは中本さん自身が落ち着かなかったのでしょうね。
年金制度の崩壊や、将来の不安を煽るような報道ばかりに気を取られて、自分や家族を守るだけで精一杯の時代に、中本さんのような方には本当に頭が下がります。
地域や、ひとりひとりの心のなかに、少しでもこういった活動に目を向けたりお手伝いできる余裕のある生活をしなくちゃいけないな、と思いました。
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