古屋(こや)という京都の山あいのわずか4人の限界集落で、先祖が守り継いだ樹齢数百年の「トチの木」から特産品を作り続ける3人のおばあちゃんたちが「ばあちゃんたちのトチの里~京都 綾部・古屋集落~」と題して2016年の10月にNHKのにっぽん紀行で特集されました。
平均年齢はなんと89歳。
「トチの実」からつくる特産品とは、木の実を使った「おかき」や「あられ」や朴葉(ほおば)で包むトチもちまんじゅうなど、自ら販売に出向き売り子もこなします。
小学校の国語の教科書にも採用されている斎藤隆介著の児童文学『モチモチの木』に登場する木は、このトチノキのことです。
番組では、おばあちゃんたちの姿を通して、働く意味やふるさとに寄せる思いを綴ったドキュメンタリー番組ですが、ここではそんなおばあちゃんたちのある日についてまとめてみました。
京都府綾部古屋(こや)地区
京都府綾部古屋(こや)地区は、あやべ吉水のある上林(かんばやし)地区からさらに7kmほど山奥に入った場所にあります。
おばあちゃんたちの仕事場は古屋の公民館。
毎朝スクーターで出勤して夕方4時まで年中休まず働くそうです。
あまりに集落が小さいと地図に出ないことも多いのですが、古屋の集落はちゃんと表示され赤マークがある場所が公民館です。
古屋は、樹齢500年から1,000年のトチの木が600本以上自生する世界的にも希少な地域です。
おばあちゃんたちは若かった頃、よく山に入ってトチの実拾いをする日常だっそうです。
年月がながれ、人も少なくなり、ついに限界集落の烙印を押された古屋の変化のきっかけは綾部市が全国に先駆けて制定した「地域活性化のための水源の里条例」です。
この条例は、廃れゆく集落を活性化して、人の集まる場所にする取り組みで、各地域の特徴を生かした物産の製造販売を地元の人たちの手で行うというもの。
古屋のおばあちゃんたちも「自分たちでできることはないか?」と話し合いを重ねて、昔からこの地域に根付いていたトチの実を使った食べ物を特産品として販売しようと立ち上がったのだそうです。
その時は、すでに80歳を超えていたけど、このチャンスを逃さず実際に行動に移し、自分たちでトチの実製品の加工・製造を行って特産品として商品化し、販路も増やして各地でも販売を行っています。
トチの実のアク抜きは、灰を使っておこなうそうですが、それには熟練の技を必要とします。
この灰のアク抜きは、後世に残すべき伝統技能として、おばあちゃんのうちの一人が京都府が定めた「農の匠」という称号をおもちなのだそうです。
近年は、このパワフルおばあちゃんたちの噂を聞きつけて、トチの実を保護するボランティア隊も結成され、若い人たちの姿も多く目にするようになったとのこと。
7月の盛夏に、綾部の住民が集まる、マラソン大会が開催されます。
普段は人もいないひっそりと下集落がものすごい車列と人の数で賑やかになる日です。
大会にあわせて、様々な出店ブースが設けられるのですが、古屋のおばあちゃんたちもこの日にあわせて、トチの実まんじゅうやおこわなどを販売。
前日はその準備に大忙しだったようです。
おこわは朴葉(ほおば)という植物の葉っぱに包んで販売されます。
朴葉(ほおば)とは?
朴葉(ほおば)という植物を初めて知ったので調べてみると、モクレン科の落葉高木でホオノキ(Magnolia obovata)という樹で樹高30 m、直径1 m以上になるものもあるようです。
6月ごろに、モクレン可独特の芳香を持った白い花を咲かせます。
葉にも芳香があり、殺菌作用もあるために、食材を包んで、朴葉寿司や朴葉餅などに使われるそうです。
また、落ち葉となった後も比較的火に強いため、味噌や他の食材をのせて焼く朴葉味噌、朴葉焼きといった郷土料理の材料として利用されたり、葉が大きいので食器代わりに食物を盛るのに用いられてきました。
その歴史は、6世紀の王塚古墳の発掘時に、玄室の杯にホオノキの葉が敷かれていたのが見つかったことからも伺えます。
おばあちゃんたちの出展ブース
おばあちゃんたちに話をもどします。
こちらが、マラソン大会に合わせて出展したおばあちゃんたちのブースです。
ザルにはいているのが朴葉に包まれたおこわ。
葉っぱが茶色に変色していることから、ちまきのように、葉っぱに包んだ後に蒸して作るようで、ほおばの香りがおこわに移って美味しそうです。
まとめと感想
「ばあちゃんたちのトチの里~京都 綾部・古屋集落~」と題してNHKの番組で特集された番組をまとめています。ました。
ホオノキの花の花言葉は、種から植えて、花が咲くまでに13年はかかるといわれることから、『誠意ある友情』。
おばあちゃんたち3人にピッタリの花言葉です。
人気ブログランキングにも参加しています。よろしければ応援よろしくお願いします!