エンテロウイルスD68というウィルスの検出によって、去年の夏以降、原因不明のまひが起きた子どもが相次いでいることがわかりました。
エンテロウイルスD68は、2014年に、全米で1000人以上が感染して“謎のウイルス”と呼ばれているもので、顕微鏡で拡大した物がこちら。真ん丸い粒状のウィルスのようです。
現時点では有効なワクチンもなく、予防のためにこまめな手洗いと塩素系の消毒剤による消毒が有効だとして注意を呼びかけているにとどまっています。
ここでは、エンテロウイルスD68の症状や感染ルートや年齢、地域について調べてみました。
エンテロウイルスD68とは?
エンテロウイルスD68(EV-D68)とは、エンテロウイルス属のウイルスの一つで、同じグループには、ポリオウイルスや、無菌性髄膜炎の原因となるエコーウイルス、また手足口病の原因となりうるエンテロウイルス(EV)71型などが含まれています。
その中で、エンテロウイルスD68は、ぜんそく症状を引き起こす呼吸器疾患です。
そもそもは、2015年の夏以降、原因不明のまひが起きた子供の報告が相次ぎ、その子供の数は33都府県で115人にも及んでいました。
調査に協力した101人のうち、ウイルスが流行していた昨年8~12月にまひを起こした子どもは95人。
その中で、検査できた子供のうち4分の1の、画像診断などで脊髄(せきずい)の病変が確認され「急性弛緩(しかん)性脊髄炎」と診断されています。
さらに、髄液などの検体を調べた結果、このエンテロウイルスD68が検出されていました。
症状や年齢は?
エンテロウイルスD68は、海外では2014年8月、米国で大流行し、2015年1月までに全米で1153人が感染。
このうち14人が死亡したと報告されています。
乳幼児や子供が発症しやすく、抵抗力のある大人では症状が無かったり、軽症で済む場合が多く、気が付かないケースもあるようです。
発熱やくしゃみ、鼻水などの軽症から、気管支炎や肺炎、呼吸困難に至り、重症化すると筋肉が虚弱化し、脳神経機能に異常をきたす場合もあり、麻痺が残るケースもあり、それが原因不明の麻痺というkたちで報道されていました。
まひを起こした多くは5歳以下で、約8割は手足のまひが残ったままだそうです。
東京都内では、2015年9月に小児総合医療センターに気管支ぜんそくのような症状で入院する患者が急増。
このうち生後11カ月の女の子や2歳の男児など4人の子供の鼻水や気管内から「エンテロウイルスD68型」が検出されています。
また、埼玉県内でも、医療機関に入院した11カ月の男の子や5歳の女児など8人からウイルスの陽性反応が報告されました。
いずれも気管支ぜんそくや急性気管支炎で入院し、このうち11カ月の男の子は、2015年9月7日に右半身に弛緩性まひの症状が現れて入院。
9日から10日にかけて左足にもまひが進み、退院後も右側には後遺症が残っていたそうです。
エンテロウイルスD68は、国内では2010年と2013年に120例以上の感染が報告されています。
地域はどこで発生しているの?
2010年から2015年の10月までの、発生分布図です。
2011年と2012年の発生件数は少ないものの、2013年は、本州や四国でかなりの数の子供たちが感染、発症していたことがわかります。
また2010年から2015年まで全てに、北海道や九州南部以南、2013年は沖縄でも発症しているようですが)での発症はないようで、インフルエンザの流行のように、温度や湿度の条件的なものが深く関係しているのかな?と思います。
ただこれは、医療に従事しているわけではない私が、分布図を見て感じたことです。
感染ルートは?
もともとの発症がどこからなのかは、まだ解明できていないようですが、感染していくルートはインフルエンザのように、せきやくしゃみなどの飛沫(ひまつ)を通じて感染が広がっているようです。
予防や治療法は?
ウイルスに対するワクチンは今のところまだ開発されていないので、国立感染症研究所では、予防のためにこまめな手洗いと塩素系の消毒剤による消毒が有効だとして注意を呼びかけている状態です。
まとめと感想
次から次にウィルスが変化して、これからもいたちごっこのようにワクチンが開発されればまた形を変えたウィルスに変化するといういたちごっこのような気がします。
怖いな、と感じるのは、形を変えたウィルスの威力がどんどん強くなっていくこと。
手洗いや消毒だけではなく、普段の食生活や睡眠を整えて、ウィルスが体内に入ってきたときに戦えるような身体を作っておくことも大事ですね。
ただ、子供はどうしても大人の小さい版ではありませんから注意が必要です。
とはいっても、あまりに神経質になりすぎて、身体に入ってきたウィルスに戦わせないための事前の過剰な予防は、自然治癒力を高めることを阻害しますから、過剰な手洗いや消毒しすぎには、注意が必要かもしれません。
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