熊本県阿蘇市(あそし)の阿部牧場と社長の阿部寛樹さんがガイアの夜明けで紹介されました。
ガイアの夜明けで放送された内容は、2016年4月にこの阿蘇牧場をおそった熊本地震からの復興の様子でした。
2度にわたって襲った大規模な地震は、主要な国道が崖崩れで封鎖され、国道から続く阿蘇大橋も崩壊しています。
鉄道も全面ストップして、物流インフラが大打撃を受け、阿蘇(あそ)地方は陸の孤島となってしまったのでした。
復旧にもまだまだ時間がかかっていて、2020年にやっと開通する予定です。
そして、今回の地震で特に深刻な事態に陥った阿部牧場の復旧の様子でした。
ここでは、その阿部牧場のミシュランを獲得したミルクや、番組で放送された震災直後や復旧の様子をまとめています。
目次
阿部牧場について
阿部牧場は、食品のミシュランガイドと称される国際コンクールで日本初の優秀味覚賞(三つ星)を与えられた牧場です。
阿蘇(あそ)の大自然の中で、循環型酪農に取り組み、自社ブランドを立ち上げ牛乳のほか乳製品の製造・販売までを行う一軒の酪農家です。
「おいしい一杯のミルク」のために、なんと、東京ドーム30個分にも及ぶ大草原で、良質な牧草と土づくりからおこなっている阿部牧場。
酪農を「カッコイイ産業」として広めるために、味だけでなくパッケージにもこだわりを持っています。
阿部牧場の阿蘇ミルクと飲むヨーグルト
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確かにパッケージもすごくおしゃれです。
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震災直後の阿部牧場
熊本地震の時、阿部牧場の牧場主・阿部寛樹さんは、自宅が被災したり倒壊の恐れがあるため、家族を連れて牧場で避難生活を送ることにして、必死で牛を守ろうとしていました。
地震の影響で倒れて立てなくなった牛がいるのに、道路が寸断されて電話も通じず、治療をする時間と人手がないばかりか、それを伝える手段さえ寸断されていたのです。
さらに、断水により水が足りず、牛の飲み水や搾乳機の洗浄に最低限度必要な1日20トン以上の水が調達できなくなってしまったのです。
乳牛のための水の確保
まずは、水道管が損傷して断水してしまったことにより、牛の飲み水が足りなくなってしまいました。
牛は興奮しているし、水がないのでモーモーと鳴いて、人が見えると呼ぶのだそうです。
牛の飼育において、水は飲水として必要なだけではありません。
牛舎の掃除や世話にも水はかかせません。
阿部牧場の場合は、1日に40トン以上の水が必要です。
まず、乳牛たちは、1日2回搾乳しないと乳房炎になってしまい、ミルクが出なくなり、最悪の場合は死に至ることもあるそうなのです。
そして搾乳をした後は、器具をきれいに洗わないといけないのですが、洗うための水道水も手に入りません。
搾乳器が洗えないと牛が病気に感染するリスクが高まり、搾った牛乳も出荷することができません。
なんとか水を確保しようと阿部牧場の戦いが始まりました。
向かったのは牧場から1キロ程離れた湧き水がある場所。
幸い熊本には、いたるところに環境汚染されていない豊かな水源がたくさんあります。
牧場主の阿部寛樹さんはこの湧き水を使おうと考えました。
土地の所有者から許可を得て湧き水をポンプで汲み上げるのですが、牛の世話に必要な水を確保するだけで毎日10往復以上で、牛乳の生産を再開させるためにはまだ足りませんでした。
本震から5日後の4月21日には、やっと通電していた電気がまた停電。
停電も断続的に続いているなか、地域の防災無線では、水道管に甚大な被害が発生していて、復旧までにはかなりの時間を要することがアナウンスされました。
水道が復旧すれば工場を再開し牛乳を作れると期待していた阿部牧場のみんなは、落胆してしまうのですが、落ち込んでいるわけにはいきません。
熊本地震の1週間後(2016年4月22日)のこと。
熊本地震が起きたのは、2016年(平成28年)4月14日21時26分以降に第1回めに震度6強。
更に4月16日未明にも震度6強の他にも震度6弱の地震が3回発生しています。
阿部牧場では、地震から1週間ぶりに子牛が生まれたのです。
460頭の牛がいる有限会社阿部牧場では、普段は毎日のように子牛が生まれるそうなのですが、地震の後は出産がパタリと止まっていました。
震災直後から、お母さんのおなかの中で守られていた子牛の誕生は、阿部牧場の希望でした。
水道の復旧を待っていられないと阿部牧場は、牧場から湧き水までホースを繋ぎ、水を引いてこようとしていました。
その距離は、なんと1キロ以上。
途中、ホースを通そうとしていた用水路はガレキで埋もれ穴が塞がっています。
それを、一つずつ取り除いて、4時間以上かけてようやく湧き水にたどり着きました。
地下から水が湧き出る水にホースを繋ぎ、水質検査もクリア。
こうやって、5月2日に牛乳の生産が再開され、阿部牧場の牛乳が店頭に並ぶのですが、そこには更なる試練が待ち受けていました。
GWの真っ最中の5月4日。
町の中心部にある阿蘇の道の駅には、地元の人が数人いるだけでした。
GWの阿蘇は毎年多くの観光客で賑わい、地震の前には年間180万人も訪れていた観光客の姿は見えず、阿部牧場の牛乳も手に取ってくれる人がいません。
阿部牧場には、消費期限を過ぎた商品が次々と返品されてきました。
5月6日
阿部寛樹さんが仲間の元に向かっていました。
普段なら観光客で溢れている商店街の中にある、阿蘇の鶏肉や馬刺しなどを扱う「阿蘇とり宮」。
店主の杉本真也さんは商品が売れないため、復旧工事に来ている人たちにお弁当を作ることでなんとか凌ごうとしていました。
このままでは阿蘇の経済そのものが成り立たなくなります。
仲間たちと力を合わせ「然」ブランドを復活させるための策を練っていくことになりました。
然(ぜん)ブランドとは
然(ぜん)ブランドとは、阿蘇に、観光客を呼び戻すためのプロジェクトとして、これまではバラバラに販売していた阿蘇の特産品を「然(ぜん)」というブランドで統一して阿蘇の特産品をブランド化したものです。
いつになったら、お客様が観光に来てくれるのかわからない状態は、不安以上にストレスで、体力のないところから潰れていくことが目に見えていました。
●観光客が来なくなったいま、商品をどう売っていけばいいのか?
●冷蔵品の組み合わせを3つくらい作ろうか。
●3,000円、5,000円、1万円くらいでいいのかな。
こんなふうに考え出されたアイディアが、阿蘇の特産品の通信販売です。
こうやって、阿部牧場はじめ、阿蘇地方の復旧が始まりました。
そして、その特産品の詰め合わせセットが、阿蘇復興支援セットした。
6月8日のガイアの夜明けの放送
ガイアの夜明けの放送中に、立てなくなった牛が映っていました。
その牛に対する問い合わせが多数きていたそうです。
それで、阿部牧場さんの公式フェイスブックに、そのことへの回答があがっていましたので、ご紹介します。
テレビを見ている側からすると、本当の現場の様子を知ることはできません。
ほんのちらりと写り込んだ映像に、共感したり反感を持ったりするわけですが、阿部牧場が牛たちを思う気持ちをしると、買えるだけ阿蘇のためになにか買いたい、ってう思いになってしまうほどです。
6月8日のご報告。
昨夜のガイヤの夜明けをご覧になられた方から、阿蘇復興セットのご注文をたくさんいただいております。
本当にありがとうございます。
さて、放送の中で地震の影響で立てなくなった牛が映っており、その牛についての問い合わせもいただいておりますので、ご説明いたします。
牛たちは草食動物であり、突然の大きな音や、恐怖感を感じるような人間の行動はご法度です。
ですので、普段から牛たちとの接し方については細心の注意を払っております。
そのような中、4月16日の未明に本震が起き、牛たちは扉を壊し、牛舎から脱走し、敷地内を走り回っておりました。
足を怪我している牛や興奮して暴れる牛などが敷地内におりましたが、激しい揺れが2時間以上続いている状態で、まずはスタッフの安全を確保するため、朝までその状態で過ごしました。
ある程度揺れが落ち着いてから、牛たちを牛舎に戻し、搾乳作業に入る必要がありましたが、もちろん停電と断水状態です。
牛たちは必ず搾乳をしてあげないと、乳房炎という病気になり、搾乳できない状態が2,3日続けば、ミルクを出すことが不可能になりますし、最悪死亡することもあります。
非常用発電機でひとまず搾乳をすることはできましたが、敷地内の水道配管は地震の影響で破損し、牛の飲み水も確保できない状態で、携帯電話も通じず、自分たちで敷地内の配管をつなぎなおす作業を行っておりました。
その最中に、1頭だけ地震で腰が抜け、立つことができない状態の牛を発見し、ひとまず牛舎から避難をさせました。
怪我の状態が非常に悪く、私の判断としては二度と立つことができない状態、つまりあきらめざるを得ない状態でした。
日常でもこのような状態に陥る牛たちが少なからずいます。
その時はと畜をするという判断をせざるを得ません。
動物の命を扱う仕事ですので、悲しみの現場はあります。
今回の立てなくなった牛も本来であれば早めにと畜し、楽にしてあげたいところでしたが、私たちの牧場に通じるすべての道が寸断し、と畜場や家畜運送会社も全く連絡が取れない状態でした。
また、治療を行って下さる獣医さんも来ることができない状態で、私たちのスタッフでできる限りの対応を行いました。
エサと水をあげ、痛みのところにシップを張り、倒れた牛の苦しみが少しでも和らぐ対応をいたしました。
しかし、専門的な治療を行うことは不可能でした。
痛み止めなどを注射したりすることは、獣医さんの仕事であり、資格を持たない私たちには、シップを張ったり、寝たままになった牛が床ずれしないように対処するのみでした。
このタイミングでテレビカメラに映り、何も対応していないという私の発言が放送されました。専門的な治療ができないという意味で発言いたしましたが、言葉足らずで誤解を招いたかもしれません。
その後、迂回路が通じ、家畜運送業とと畜場が復旧したため、この牛はと畜いたしました。
それまでの間、牛の命が途切れることがないよう、痛みが少しでも和らぐよう、精一杯の対応を行ってきました。
しかも、その間の約5日間、スタッフたちはほとんど不眠不休の対応でした。
と畜したことは悲しいことではありますが、460頭を超す全ての牛たちの健康を守り抜き、地震の影響で乳房炎を出すこともなく、毎日寝る時間を削って牛たちの飲み水をタンクで運び、電気と格闘し、つないだ先の水道管がまた漏れている喪失感と闘いながら延々と水道の配管をつなぎ続け、牛の命を懸命に守り続けた社員たちを私は誇りに思っています。
安楽死をさせたほうがいいという内容のメールをいただきましたが、それは私たち牛飼いが最もしてはならない手段だと私たちは考えています。
自分たちで牛の命を止めるという方法は絶対にしたくありません。
私たちは牛たちの命と健康のために、粉骨砕身日々努力を重ね、その結果、美味しい牛乳を牛たちからいただくことができると考えています。
今日も、美味しい牛乳のための一日が始まっています。
出典:https://www.facebook.com/abefarm/posts/1087366407991773
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まとめと感想
熊本地震から1週間後くらいまでは、福岡でも地震警報がなったり、体に感じる揺れを体感して本当に怖かったです。
前回の東北地震の際に、何度もテレビで放送されていた牛たちの映像や画像に、ものすごく苦しいものを感じていました。
そして幸いにも2次的な被害がなかった熊本は、遠くはなれた土地からすれば、時間が経つにつれて薄らいでいく記憶かもしれません。
既に2019年5月の時点で、阿蘇の復興セット「禅」の販売は終了し、阿蘇のそれぞれのお店からの購入と、ふるさと納税で阿蘇を応援する形になっています。
もし、この記事が目に留まったならばぜひふるさと納税で、阿部牧場や阿蘇全部を応援していただきたいなっとおもいます。
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