「誰でも、いつでも、どこでも受けられる先進医療の実現」をコンセプトに医療革命を起こすべく、プラスチック素材を使った高分子(ポリマー)=スマートポリマーの開発、実験に取り組んでいらっしゃる荏原充宏(えばらみつひろ)さんが3月13日の夢の扉の主人公です。
番組内容は
『誰でも、いつでも、どこでも受けられる先進医療の実現を』 そんな夢を叶えようと、医療に応用するための新素材を開発しているのが、プラスチック素材の研究者、荏原充宏(えばらみつひろ)さん40歳。
それは、温度や磁場など環境に応じて性質を変える「スマートポリマー」。
一見、ただの薄っぺらなシートだが、熱を加えると一気に縮み、磁力を当てれば発熱、一定の時間が経つと自然に分解し、特定の物質だけを吸着させることもできるといいます。
目的に応じて様々な機能を発揮する、“変幻自在”の新素材。
この特性を活かし、シートに抗がん剤と発熱成分を閉じ込めたシャーレ実験では、がん細胞が90%死滅!
まさに「貼るがん治療」の時代です!
そして、『人が想像できるものは、必ず実現できる』と荏原が今取り組むのは、腕時計型の人工透析器。 患者の負担を減らす医療を目指し、新たにはじまった実験のようすが紹介されます。
スマートポリマー(スマポ)とは
さまざまな外部環境変化(例えば温度、pH、光、磁場など)に応答してその性質を変化させるように人工的に設計した高分子(ポリマー)のことがをスマートポリマー(スマポ)とよばれており、他にも、インテリジェントポリマー、刺激応答ポリマー、環境応答ポリマーなどとも呼ばれているようです。
わたしたちの体の中のタンパク質は、熱などが加わると変性します。
例えば、熱したフライパンに生卵を落とすと白身が白くなったり、肉を熱するとだんだん弾力を失って固くなったりします。
このような生体システムにヒントを得て、さまざまな外部環境変化(例えば温度、pH、光、磁場など)に応答してその性質を変化させるように人工的に設計した高分子のことを“Smart”ポリマー(または刺激応答性高分子)と呼び、わずかな刺激に応答して、しかも可逆的にその性質を‘On-Off’で変化させることができるというもの。
つまり、フライパンに生卵を落として白く固まったものがもとにもどる=生卵に戻る(可逆的:かぎゃくてき)という理論で、私たちの現在の常識では考えられない状態です。
巻き戻しビデオを見るようなイメージですね。
そのために、様々な用途への応用が期待されていて、特に、インフラが整っていない途上国や被災地など、”だれでも”、”いつでも”、”どこでも”治療が受けられる医療技術の開発を目指しているのだそうです。
『誰でも、いつでも、どこでも受けられる先進医療の実現を』 そんな夢を叶えようと、医療に応用するための新素材を開発しているのが、プラスチック素材の研究者、荏原充宏。それは、温度や磁場など環境に応じて性質を変える「スマートポリマー」だ。 一見、ただの薄っぺらなシートだが、熱を加えると一気に縮み、磁力を当てれば発熱、一定の時間が経つと自然に分解し、特定の物質だけを吸着させることもできるという。目的に応じて様々な機能を発揮する、“変幻自在”の新素材。 この特性を活かし、シートに抗がん剤と発熱成分を閉じ込めたシャーレ実験では、がん細胞が90%死滅!ー「貼るがん治療」そんな治療も実現するかもしれない。 『人が想像できるものは、必ず実現できる』と、荏原充宏さんが今取り組むのは、腕時計型の人工透析器。
患者さんの負担を減らす医療を目指し、新たにはじまった実験の様子などの放映です。
その全貌についてった。
私たち人間の体は60兆個もの細胞から構成されてます
。こららの細胞が受ける様々なストレスとその運命を理解することは、病気の発症解明や治療薬の開発など、健康長寿社会の実現にむけた多方面での研究に非常に重要な学問(メカノバイオロジー)となっております。私たちはスマートポリマーを用いてメカノバイオロジー研究に取り組むことで、将来的には薬や細胞のいらない治療法の開発を目指しております。
荏原充宏さんプロフィールと経歴
荏原充宏(えばらみつひろ)
生まれ:1975年東京都中野区
1994年 東京都立西高等学校 卒業
1999年 早稲田大学理工学部応用化学科 卒業
2004年 早稲田大学大学院理工学研究科応用化学専攻 博士後期課程修了
2004年 米国ワシントン大学バイオエンジニアリング学部 博士研究員
2006年には、あのビル&メリンダ・ゲイツ財団(米国)でも博士研究員を務めていらっしゃいます。
2007年 大阪大学医学部附属病院未来医療センター 特任助教
2009年~物質・材料研究機構 主任研究員
(併任)
2007年~2009年 大阪大学大学院工学研究科 特任助教
2015年~東京大学大学院工学研究科 非常勤講師
2015年~東京理科大学連携大学院 客員准教授
受賞
2001年
Korea-Japan Biomaterials Research Young Investigator’s Award (Fall Meeting of the Korean Society for Biomaterial)
2002年
小野梓記念学術賞(早稲田大学)
2002年
Japan-Korea Joint Symposium Award (24th Annual Meeting of the Japanese Society for Biomaterials)
2003年
学生講演賞(日本化学会第83春季年会)
2003年
バイオ部会学生ポスター賞(化学工学会第36回秋季大会)
2003年
文部科学大臣賞(第17回独創性を拓く先端技術大賞 学生部門)
2003年
Poster Award for the Outstanding Presentation (ISSP International Workshop 5th Gel Symposium)
2007年
ヤングサイエンティスト講演賞 (第54回高分子研究発表会)
2011年
奨励賞 (第21回日本MRS学術シンポジウム)
2012年
Young Scientist Award (9th World Biomaterials Congress)
2014年
プロジェクト賞(ライフナノテクノロジー部門)(nano tech 2014)
2015年
シルバー賞(田中貴金属グループ)
2016年
科学奨励賞(第37回日本バイオマテリアル学会)
日本語名は、「刺激応答性高分子」といいます。
では、早速スマートポリマーをどのようにつかっていくのか、みていきましょう。
貼る”癌治療用メッシュ
癌治療は、がんの温熱療法と化学療法を同時に行うことで高い抗癌効果が得られることが知られています。
手術の際、切除したがんの患部に貼り、あとは体の外から磁力をあてると、温熱療法と抗がん剤治療を同時に 施すことが
できます。
単独で行う以上に効果があり、しかも、がんの部位だけに集中した治療がおこなえるだけではなくて、材料がポリマーなのでとても安価なのです。
腕時計型尿毒素除去フィルター
現在日本には透析患者が30万人以上いるといわれております。しかし現在の透析のシステムでは高度なインフラが整った病院設備が必要となるため、途上国や災害時などの緊急時の治療は困難となります。そこで世界中どこでも利用可能な携帯型の尿毒素除去フィルターの開発を行っています。
ほかにも
・早期診断用ポリマー
途上国などでは5歳未満の子供の死亡率がきわめて高いことが問題となっています。
これらの主な死因は早期に診断・治療すれば治るような感染症などです。
その一方で、こうした地域では早期診断可能な高感度センサーを用いるのは困難なのが現状です。
そこでスマートポリマーを用いて、高感度センサーを用いなくてもよい濃度にまで病原体を濃縮・精製する方法の開発を行っています。
・超高齢化社会にむけた抗炎症ポリマー
認知症や骨粗しょう症、心筋梗塞や脳梗塞などの介護を必要とする病気の60%は炎症反応が関与しているといわれています。
そこで過度な炎症を制御するために、アポトーシス細胞の抗炎症メカニズムに注目し、新たな抗炎症ポリマーの開発を行っています。
・健康長寿を支えるメカノバイオロジー
私たち人間の体は60兆個もの細胞から構成されてます。
こららの細胞が受ける様々なストレスとその運命を理解することは、病気の発症解明や治療薬の開発など、健康長寿社会の実現にむけた多方面での研究に非常に重要な学問(メカノバイオロジー)となっています。
スマートポリマーを用いてメカノバイオロジー研究に取り組むことで、将来的には薬や細胞のいらない治療法の開発を目指しています。
と、さまざまな最先端技術が研究されています。
国立研究開発法人物質・材料研究機構より
http://www.nims.go.jp/bmc/group/smartbiomaterials/index.html
また、こういった技術を子供たちにもわかりやすく、しってもらうための活動も積極的におこなっていらっしゃるようです。
アウトリーチ活動
スマポのすごさ・面白さを広く伝えるために、様々なアウトリーチ活動を行っています。
マンガ本を作成したり、ナノ戦隊スマポレンジャーのショーを行ったり、学校などに出前授業に行ったり。
これらの活動を通じて、私たちの身の回りにある様々な材料の可能性を考える機会が得られればと願っているとのこと。
ナノ戦隊スマポレンジャーの公式hpはこちら。
http://www.nims.go.jp/mana/smartpolymer/index.html
番組で放送されなかった未公開映像もどうぞ↓
まとめと感想
お医者様や技術者と言うと、なんだか近寄りがたくて、堅苦しいいイメージがありますが、荏原充宏(えばらみつひろ)さん自身がまだまだお若いからでもあるのでしょうか?
この柔軟性とユーモアが、今までの常識を覆すような新しい発見や開発に繋がっているのでしょうね。
今はまだ不治の病と言われている、完治困難な様々な病気が、近い将来「過去のもの」に変わっていくことを期待します。