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Tシャツの前処理剤でかぶれ・やけど・アレルギーまで!顔料用前処理剤って何?

Tシャツで、かぶれややけどや救急搬送ってどういうことでしょう?

神奈川県茅ヶ崎市で開かれた『スタンドアップパドルボード』の国際大会で、主催者側が配布したTシャツを着用したところ、皮膚のかぶれやけどのような症状のほか、アレルギー症状まで訴えている方が現在24名いると報道されていました。

国際大会のためにオリジナルで作られたものなので、特定するブランドやメーカーはありません。

引用:http://headlines.yahoo.co.jp/

 

Tシャツは、ゼッケンの代わりとして選手やスタッフにおよそ360枚配られていました。

主催者によると、ロゴマークなどの印刷に使った薬品がTシャツに残っていたことが原因とみられるということで、その薬品とは、プリントする前に発色を良くするための「前処理剤」だそうです。

ここでは、その前処理剤販売メーカーついて調べて調べてみました。

かぶれの症状ってどんなもの?

Tシャツで「かぶれ」と報道されていたのですが、実はかぶれの他にも『やけど』、『アレルギー症状』といった炎症を起こした人がいて、中には、男性1名が救急搬送され入院されているようでした。

これはやけどというより、アナフィラキシーショック症状ですよね。

アナフィラキシーショックとは?

アナフィラキシーとは「急性アレルギー反応」の1つで、急激に、かつ全身に激しい症状を呈するものです。
アレルゲンに接触後、数分~数時間で動悸や息切れ、めまいに始まり、蕁麻疹などのさまざまな症状が現れます。重症の場合は数分でけいれんや意識消失が起こり、呼吸が停止するといった命に関わる危険な状態に陥ることもあり、一刻を争うものです。出典:http://www.allergyhyaku.com/sikkan/anafi.html

炎症の症状もかなりひどいらしく、被害者の方は「ライターであぶられる痛み」だそうで、『大やけどを負った人の痛みがこんな感じなのか』と思われるほど酷いようです。

かぶれの写真は?

TTシャツでかぶれたという、画像がこちら。

首下の鎖骨のあたりの画像ですが、かぶれといえる軽い程度ではなさそうです。

引用:http://news.livedoor.com/

 

このかぶれの原因になっているのが、プリントの発色を良くする為に行う前処理剤だと言うのです。

Tシャツが水に濡れた際に、泡が出るという報告もされており、その薬品がTシャツに残留していた可能性が大きいようです。

たまに、買ったばかりのプリントTシャツがやけにインク臭い感じのものもあるけど、さすがにかぶれたりはしたこと無いし、こんなにもかぶれるんですね。

前処理剤って何?

今回のこのTシャツのプリントに使われていた前処理剤は、インクジェット用前処理剤で『ガンリョウヨウ マエショリザイ(顔料前処理剤)』と言われているもののようです。

成分は非公開とのことですが、製造メーカーの安全データシートを見つけましたので、そこから、やけどやかぶれの原因になりそうな成分をさぐってみました。

まずガンリョウマエショリザイにはAとBと2種類、成分が若干違うものがあるようで、今回のかぶれややけど症状に該当しそうな箇所を抜粋します。(C以降があるのかどうかは、調べ中)

ガンリョウマエショリザイA

・製品名:ガンリョウマエショリザイA
・会社名:株式会社島精機製作所
【危険物有害性の要約】
・GHS分類:全ての分類項目において分類対象外、区分外もしくは分類できない
【組成、成分情報】
・成分及び含有量:非公開←企業秘密ってことでしょうか???
【物理的化学的性質】
・外観:乳白色液体←洗うと
・臭い:無臭
・pH:5~8
*健康な皮膚のpHは4.5~6.0の弱酸性です。

健康な人の肌のpHを基準とすると、脂性肌の方ほどpHが酸性(4.5)、乾性肌の方ほどpHがアルカリ性(6.0)に傾いています。

ガンリョウマエショリザイB

こちらはガンリョウマエショリザイAに比べると、危険度も高く今回のような激しい炎症ややけど症状を引き起こす、危険マークがついています。
・製品名:ガンリョウマエショリザイB
・会社名:株式会社島精機製作所
【危険物有害性の要約】
・GHS分類

  1. 引火性液体:区分3
  2. 急性毒性(経口):区分4
  3. 皮膚腐食性・神経性:区分1
  4. 目に対する重篤な損傷性・眼刺激性:区分1
  5. 生殖細胞変異原性:区分1
  6. 生殖毒性:区分1
  7. 標的臓器・全身毒性:区分1(肝臓)、区分2(神経)

*こちらは、区分の数字が小さいほど危険度が高くなります。
なお、こちらは経口の場合で、皮膚付着や経皮吸収とでは危険度は異なるのですが、危険度の目安です。

引用:http://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/ghs_symbol.html

【組成、成分情報】
・成分及び含有量:塩化ジデシルジメチルアンモニウム:80%、エタノール:10%、水:10%
*塩化ジデシルジメチルアンモニウム:80%が原因物質だと確定されました。
【物理的化学的性質】
・外観:淡黄色透明の液体
・臭い:エタノール集
・pH:8(1%水溶液)←これかなり危険です!
*健康な皮膚のpHは4.5~6.0の弱酸性です。

健康な肌の方のpHを基準として、脂性肌の方ほどpHが酸性(4.5)、乾性肌の方ほどpHがアルカリ性(6.0)に傾いています。

なので、pHが高いと言うことは、アルカリが強くなると言うことなのですが、1%濃度の8%でもかなりの皮膚刺激があります。

これが濃縮されて水分が飛んだ状態だと、完全にやけどの状態になり、皮膚がぬるぬると溶け出すのです。

指先に、高濃度のアルカリ成分が少しでも付着すると、指紋がなくなるくらいに皮膚が溶けて、真っ赤になってジンジンズキズキは数日間続き、完全にしもんが出来上がるまで1週間近くかかり、通常通りの指先を使いことすら難しくなるほどです。

なんでこんなことを知っているかと言うと、かなり予断になりますが、私は手作り石鹸をよく作るのですが、石鹸はオリーブオイル(他ココナッツオイルやパームオイル)と苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)という強アルカリの薬品をつかって作ります。

もちろん、せっけん作りの行程では、ゴム手袋やマスクや(ゴーグル)は必須です。

ただこうやって、出来上がった石鹸は1ヶ月以上放置しないとアルカリが強すぎて使えないのです。

寝かせるとか熟成させる という言い方をするのですが、要はアルカリを飛ばすイメージです。

この手作り石鹸は、製造過程でちょっと油断して、ゴム手袋に付着したアルカリ成分が指先にでも付こうものなら、大急ぎで水洗いしても既に遅し・・・皮膚がぬるぬると溶け出します。

こういうとすごく恐ろしい感じがしますが、キチンと安全に配慮すれば問題はないのですけどね。

ガンリョウヨウマエショリザイ で検索すると、ガンリョウヨウマエショリザイBというものが先に表示されますから、プリントの発色を浴するためのガンリョウヨウマエショリザイはBを使われることが一般的なのかもしれません。

島精機製作所からのコメント

今回の事故を受けて、インクジェットプリンターとこの前処理剤を販売納品した島精機製作所からコメントが出されていました。

一部報道について
9月10日に神奈川県茅ヶ崎市で開催されたスタンドアップパドルボードの国際大会において配布されたTシャツの着用により、選手及びスタッフの方々にかぶれなどの症状が起きたと報道されております。被害に遭われた皆様には、心よりお見舞い申し上げます。
弊社は、このTシャツを製作した会社に対し、インクジェットプリンターとインク及び前処理剤を納入しております。インクジェットプリンターは弊社製のものであり、インク及び前処理剤は弊社が他社から購入して、Tシャツ製作会社に販売しておりました。
今回配布されたTシャツについては、弊社のプリンター、弊社が納入したインク及び前処理剤を使用して製作したものであると、Tシャツ製作会社から説明を受けております。
現在、弊社では、Tシャツ製作会社、インク及び前処理剤の仕入れ先と連携して、情報収集と原因究明を進めておりますので、今後状況が判明しましたら、弊社Webサイト(http://www.shimaseiki.co.jp/)にて逐次お知らせしてまいります。
<本件に関するお問合せ先>
総務人事部 部長 今井博文
TEL:073-474-8208
携帯電話:080-1488-1738(夜間対応可)
Eメール:h.imai@shimaseiki.co.jp

まとめと感想

ここでは、神奈川県茅ヶ崎市で開かれた『スタンドアップパドルボード』の国際大会で、配られたTシャツを着用した方にやけどのような症状が出たとして、問題になったTシャツ事故。

印刷業者が、業務上過失致傷の疑いもあるとみて調べられているとのことで、「乾けは成分も一緒に飛ぶと思っていた」という、Tシャツ製造会社の安易過ぎる判断が大きな事故を招いてしまった感はぬぐえません。

多分、正しく使われていたら全く問題がなかったかもしれない前処理剤島精機製作所ですが、使用時の安全についての注意を、販売する際に十分に伝えていなかった責任も大きいのかもしれませんね。

被害にあわれた方の早急な完治を願います。

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