かまいたちという言葉をご存知ですか?
道を歩いていただけなのに、気がついたら切り傷が出来ていた、そんなことって一度くらいは覚えがありますよね?
その不思議な現象を日本では昔から妖怪「かまいたち(鎌鼬)」のしわざと考えてきました。
妖怪なんて昔の考え方だとみなさん思うかも知れませんが、実は今もこのかまいたち(鎌鼬現象)の謎は解き明かされていません。
ここでは、そのかまいたち(鎌鼬現象)のたくさんの不思議現象について、かまいたちから身を守る方法やかまいたちに傷つけられた時の対処法などについてまとめてみました。
目次
かまいたち(鎌鼬現象)とは?
かまいたちとは漢字で『鎌鼬』と書きます。
東北地方、信越地方のような雪国で口伝えされてきた妖怪で、つむじ風に乗って鎌のような爪で人の皮膚を切りつけるといわれてきました。
かまいたち(鎌鼬現象)にはいろいろな説があり、地方によって語り継がれる症状もさまざまです。
- 人を傷つけることはあっても痛みはない。
- 人には見えない傷を作るので、出来た傷から血は出ない。
- 爪で引っかかれた人はスッパリと皮膚が切れるが、すぐに治る。など
ゲゲゲの鬼太郎にも出てくる
かまいたちは水木しげるの漫画『ゲゲゲの鬼太郎』に「妖怪かまいたち」としも登場します。
鬼太郎を助けるシーンも一部あったようですが、大方は鬼太郎の敵として立ち回っています。
人に危害を加えるかまいたちですが、妖怪とはいえ鬼太郎にとっても敵だったようですよ。
かまいたち(鎌鼬現象)の由来は?
かまいたち(鎌鼬現象)は、「構え太刀」(かまえたち)がなまって「かまいたち」になったといわれています。
その名前の一部「いたち」という言葉から、江戸時代中頃に鎌のような爪をもったイタチの姿が描かれるようになり、それ以来妖怪として今日まで伝わって来たそうです。
では、妖怪とは言ってもどのような妖怪として語り継がれて来たのか?地方によって言い伝えが色々ありましたので、調べてみました。
妖怪説の色々
鎌のような爪をもったイタチというのが一般的にイメージされる姿ですが、地方によっては悪神であったり、カマキリであったり本当に様々な説があります。
悪神説
信越地方では、かまいたち(鎌鼬現象)は暦を踏んだりすると起こる悪神による災いと考えられていました。
飛騨の丹生川流域では3人連れの悪神とされ、最初の神が人を倒し、次の神が刃物で切り、三番目の神が薬をつけていくので出血がなく、痛みがないと言われています。
飯綱(いづな)
愛知県東部では飯綱(いづな)という名前で呼ばれ、かつて飯綱使いから逃げた飯綱が、人の生き血を吸うためにつむじ風に乗って人を襲うのだといわれています。
かまいたち(鎌鼬現象)による傷で出血しないのは、血を吸われているためとも。
鎌切坂(かまきりざか)
新潟県三島郡片貝町では、鎌切坂(かまきりざか)で大型のカマキリが大雪で圧死して以来、そこで転んだ人は鎌で切ったような傷ができ黒い血が流れて苦しむと伝えられています。
鎌風(かまかぜ)
神奈川県ではかまいたち(鎌鼬現象)のことを鎌風(かまかぜ)というそうです。
悪禅師の風(あくぜんじのかぜ)
静岡県ではかまいたち(鎌鼬現象)のことを悪禅師の風(あくぜんじのかぜ)と呼ぶそうです。
高知県高岡郡黒岩村(現・越知町)では
かまいたち(鎌鼬現象)のことを野鎌(のがま)といい、それに似た鞭を振り回すような風が田の上に吹くことを「ムチ(鞭)」といいます。そのムチにあたると病気になると言われています。
土佐郡土佐山村(現・高知市)では
ムチは夜道を行く者の連れている牛馬を取り殺すともいわれ、牛馬に目隠しをしてこれを防ぐそうです。
かまいたちの妖怪説の他には、風に関する民間伝承もありました。
風に関する民間伝承
かまいたち(鎌鼬現象)以外の風による言い伝えでは、風にあたって病気になるというものも多く、風による言い伝えでは、体に傷を負わせる話はあまりないようです。
山口県豊浦郡では
“ヤマミサキ”と呼ばれる深山に起きる怪異は、人の生首の形をして落ち葉の上を車のように飛んだりする魔風で、人がその風にあたると大熱を出すと言われています。
山口県萩市相島崖で死んだ人や難破者が、死後8日目まで“ヤマミサキ”になるそうです。
山口県阿武郡六島村(現・萩市)では
“ヤマミサキ”の正体は死後に行き場のない、風になってさまよっている亡霊であるとも言われます。
高知の幡多郡昭和村(現・四万十町)では
不慮の事故にあって死んだ者の霊を“リョウゲ”と呼び、これに行きあうことをリョウゲ憑きと言うそうです。
奄美大島では
お盆近くに墓道などで生温かい風にあたった時に悪寒がし、その後身体に斑紋が表れて高熱が出ることがあるそうです。
そうなった時はお祓いをする必要があるとされています。
かまいたちから身を守る方法は?
妖怪や悪神など、いろいろ言われているかまいたち(鎌鼬現象)ですが、調べていくとあまり怖がる必要はなさそうです。
ただ、知らぬ間に、体がが傷つけられているのでは不気味ですから、身を守る方法があれば、知っておいても損はしませんね。
まず、かまいたち現象にあうと、体がどういったダメージを受けるのかをまとめてみると
- 「痛みはない」
- 「血は出ない」
- 「すぐに治る」 などです。
妖怪説を排除して、現実的に皮膚が傷つく原因を探していくと
- 気圧が乱高下したり、急に変化をすると皮膚が裂ける可能性がある。
- 皮膚表面が急激に冷やされることで、皮膚の組織が裂けるといったような現象(あかぎれ)とも考えられる。
- 皮膚が切れるということに限定すると、風が巻き上げた小石や木の葉によって傷がついたとも考えられる。
など、とても当たり前で現実的です。
ただ、かまいたちによる傷の場合は、衣服は裂けていないことが特徴なので、外的要因で傷ついたとは考えにくいのです。
結局のところ、科学的な解釈でもいまだに原因が突き止められていないので、身を守る方法は今のところ見つかっていないのですが、皮膚を守ることはできますね。
かまいたちによる傷が、
- 「痛みはない」
- 「血は出ない」
- 「すぐに治る」
だとすれば、傷は深くはないことがわかります。
なぜなら、皮膚の構造を見てみると、痛みはなく血は出ないという傷は、私たちの体と外界を守るためのバリアを持った表皮(ひょうひ)しか傷ついていない可能性が大きいからです。
表皮には血管がありませんし、部位によっては知覚も鈍感だったりします。
ということは、
加齢によって、皮膚表面の弾力がなくなっていたり、乾燥によって、皮膚の伸縮がうまく機能していないと傷つきやすくなりますから、しっかりとした保湿などで、皮膚表面に弾力や潤いを保っておけば、傷つくことはある程度さけることができるのかもしれません。
かまいたちにあってしまったら?
かまいたち(鎌鼬現象)の症状を調べていくと、いろいろな傷つき方はあるものの、大きなダメージを受けるような説はあまり見当たりませんでした。
もしかまいたち(鎌鼬現象)にあって、皮膚がきずついてしまったら、ここは慌てず騒がず、傷口の手当をするだけで大丈夫のようです。
傷の手当、と言っても、ほおっておいても治る程度なので、衣類で擦れて痛みを感じるようであれば、傷テープなどでちょっと保護しておく程度でよさそうですね。
まとめと感想
これだけ調べてみてもかまいたち(鎌鼬現象)の謎は深まるばかりです。
もし、妖怪説にばかり意識が向いて、「怖い」という思いが頭からはなれなくなったら、身近な人に「かまいたち」にあったことがあるかどうか聞いてみてください。
言い伝え以外で名前すら知らない人がほとんどかもしれませし、傷つけられるといても、出血もしない程度であれば、私達人間のほうが断然強いということですね。
私たちは、目に見えないものや事に対して、自分勝手に妄想を膨らませて怖くなってしまうことがあります。
先人たちは答えのでない謎を“かまいたち”という妖怪として、ユーモアをもって語り継いできただけなのかも知れませんね。
私がかまいたちと聞いて真っ先に思い浮かべたのは、ゲームの『かまいたち』でした。
その中に使われるサウンドが、ゲームらしからぬとっても良いメロディなのです。
懐かしい曲のサウンドトラック盤がありました!
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